白昼夢

  サークルの先輩から、大学祭の出し物のお披露目会をやるから来てねと誘われたから昼頃大学に行った。Kinectと呼ばれるデバイスとプロジェクターを使って、現実世界とヴァーチャルを融合した体感型のゲームを作るらしい。待ち合わせ場所に行った私はよくわからない図形が蠢く様子を見て白目を剥いていた。フカフカのマットを楽しんでいたら図書館に行って勉強することを思い出したから図書館に意識を向ける。Kinectの説明書を見ても、コードの読めない私は何もわからなかった。


  図書館で2時間惰眠を貪った後、暗いところならKinectもうまく投影されるだろうと思い、2時間前まで居た場所に向かったが誰も居なかった。帰ろうとすると、辞めたサークルの4年生4人と2年生1人に会って「久しぶり。」「お久しぶりです。」「やぁ。」「こんばんは」と会話した。焦点の合わない10の瞳、硬直する私、ゴウンゴウンと音を立てる給水機。消えてしまいたかった。何を話したらいいかわからなくて、絞り出すような「久しぶり。」が脳の中を縦横無尽に駆け巡っている。
  家に帰った今も。